東北芸術工科大学
山形市にある東北芸術工科大学に在籍している18歳〜24歳の男女を対象に「就職・起業に関する調査」を実施しました。昨今、首都圏一極集中の傾向が高まるなか、地方の大学に在籍している大学生が、進路をどのように考えているか、アンケート結果をみていきたいと思います。
この調査は、2024年度から毎年実施をしており、推移も含めてみていきます。
山形市にある東北芸術工科大学に在籍している大学生の男女126名にアンケート調査を行ったところ、「関東地方で就職したい」と回答した対象者が55名(43.7%)だった。昨年同時期のアンケートでは、42.0%だったことから、微増。 一方で、「山形県内で就職をしたい」と回答した対象者は、12名(9.5%)で、この比率も昨年時(8.7%)から微増した。「正直、今は何も考えられていない」14名(11.1%)も一定数が昨年時から存在する。また「起業したい」や「県内で就職後、起業したい」「家業や親族の企業を継ぎたい」は、3名(2.4%)がいることもわかった。この比率は、昨年も同程度(3%)だった。
進路に関する心配事を記述式(任意)で求めたところ、大学生のリアルな心情が浮き彫り化された。
東北芸術工科大学デザイン工学部教授で、大学生の就職支援も行う関良樹氏は、次のように分析しています。
東北芸術工科大学の学生126名を対象にした進路調査によると、「関東地方で就職を希望する」と答えた学生は43.7%と、昨年より微増。一方、「山形県内で就職したい」と答えた学生はわずか9.5%にとどまった。地元志向の低さは依然として続いている、背景には進路に対する漠然とした不安や生活面での懸念があることが浮き彫りとなった。 回答では、「自分に何が向いているのか分からない」「やりたいことが見つからない」「社会に出てやっていけるか不安」といった声が多く見られ、就職そのものに対する心理的ハードルが高まっている。一方で「創作活動と両立したい」「副業としてアートを続けたい」といった自己実現を重視する価値観も一定数見られている。 このような状況において、地域企業には「安心して働ける環境づくり」「個人の創作や副業への理解」「生活コストや支援制度の情報発信」など、従来の枠を超えた魅力の再構築が求められる。学生の価値観の多様化に応じた柔軟な働き方やキャリア設計の提案こそが、若者の地元定着の鍵となるのではないかだろうか。引き続き、就活側面にて、就職そのものに対する心理的ハードルのケアを続けていく。今後、地元企業に求められる要素をまとめていきたい。」
関 良樹
Yoshiki Seki
東北芸術工科大学イノベーション&コミュニケーション研究所所長 兼 デザイン工学部 教授
東北芸術工科大学 イノベーション&コミュニケーション研究所 事務局
本調査結果の利用には、必ず、東北芸術工科大学イノベーション&コミュニケーション研究所(通称:IC Lab.)の明記をお願いします。
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