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2025.07.13

「あなたは推し活をしていますか?」〜2025年度版大学生の推し活のリアルを調査〜

推し活に関する調査(2025年7月)

山形市にある東北芸術工科大学に在籍している18歳〜24歳の男女を対象に「推し活に関する調査」を実施しました。多様化、ダイバーシティーが広がる中、地方の大学に在籍している大学生の推し活についてアンケート調査から見えてきたことをお伝えします。

昨年度も同じ調査を実施しています。昨年度の調査はこちらからご覧ください。

トピックス

調査結果

【1】推し活をしている大学生は、全体の63.8%

山形市にある東北芸術工科大学に在籍している大学生の男女116名にアンケート調査を行ったところ、「推し活をしている」と回答した対象者が74名(63.8%)だった。昨年同時期に行った調査では、62.6%だったことから、前年比から1.2%増加した。一方で、「推し活に興味がない」と回答した対象者は、16名(13.8%)で、推し活に興味がない層がマイノリティーとなる結果となった。また現在、推し活をしていない大学生でも、推し活に興味関心がある層(してみたい、興味があるとの回答者)は、22.5%で、この比率が昨年よりも減少していることから、昨年時から1.2%ほど推し活をしている対象者が増加したことが確認できた。

【2】女性の72.0%が推し活を実施している一方で、男性は45.5%

「推し活の状況」について、男女別で分析を行なったところ、女性の推し活実施比率は、72.0%と高い値を示した。一方で男性は、45.5%だった。ただし、昨年同時期の調査では、男性の「推し活をしている」比率は27.9%だったことから、今年は、男性の推し活比率が急激に増加したと言える。

【3】年齢別での推し活実施状況には、大きな違いは見えない

「推し活の状況」について、年齢別で分析を行なったところ、年齢別に大きな違いは見られなかった。(21歳の回答者が19名、22歳の回答者が5名のため)

【4】推し活のジャンルは、男女で差のある結果に

推し活をしている人(99名)に、最も推しているジャンルを調査したところ、男女で大きな差が確認できた。男性は、「音楽バンド・グループ」の推し活比率が48.1%と最も高い結果だったことに対し、女性は、「音楽バンド・グループ」が19.4%、「アイドル」が16.7%、「ゲーム」が13.9%と分散する傾向がみえた。その他のジャンルでは、スポーツ選手、インフルエンサーやゲーム実況、作家などがあがった。

【5】推している人、キャラクターは、メジャー系が少ない

推し活をしている対象者で、推している人(もの)を記述してもらったところ、アーティストだけでなく、アニメや漫画、ゲーム内に登場するキャラクターや声優などさまざまな名前が挙がった。下記は、記述内容を五十音順で列挙した。

解説

東北芸術工科大学デザイン工学部教授で、マーケティングや生活者行動分析、社会実装の研究を行う緑川岳志氏は、次のように分析しています。

今や3.5兆円という巨大経済圏を形成することになった「推し活」に関する調査は、2024年から実施を行い、東北芸術工科大学デザイン工学部緑川岳志研究室でその傾向分析を行なっています。今回の調査結果で昨年と変化したポイントは、男性の「推し活」実施比率が大きく上昇したことです。昨年の分析では、その「推し活」がポジティブで明るくなってきたことを報告しましたが、女性がアクティブに「推し活」をすることによって、男性もよりオープンで積極的に活動ができるようになったものと考えられます。今回は、山形県にある東北芸術工科大学の大学生116名へのアンケート調査を行い、最も推している対象を公表してもらいましたが、記載された「推し」は、メジャーなアーティストやタレントが少なく、あるアニメ作品の脇役キャラクターや、その声優、若手のアーティストなどが挙がっており、よりその裾野が広がっている傾向が続いています。

昨年は、アンケート調査結果から、Z世代、α世代が、大量生産、大量消費への疑念を感じ、社会全体に抗いの気持ちが蓄積されているのではないかと分析しましたが、この1年ほど学生とヒアリングを通じて感じたことは「抗いの気持ち」はなく、むしろ「推し活そのものが生きがい」と素直に感じていることでした。そして、彼らは「推し活」に「育てる喜び」を強く感じ始めており、人間が本来持ち合わせている、「他者を育み、成長を見守りたい」という本源的な欲求の代替と昇華として推しを捉えるのではないかという仮説を導きました。伝統的な社会では、この欲求は主に自身の子育てを通じて満たされてきましたが。近年、未婚化・晩婚化が進み、子供を持たない、あるいは持てない選択が一般化する現代において、この根源的な欲求が消えるわけではなく、それが、「推し活」への傾倒につながったのではないかと分析します。

本調査の気づきを経て、2025年度「少子化と推し活の共鳴関係」について再度調査を行っていきます。


緑川岳志 Takeshi Midorikawa


緑川 岳志 Takeshi Midorikawa
東北芸術工科大学 デザイン工学部企画構想学科教授

 

 

 


調査項目

調査概要

調査主体

東北芸術工科大学 デザイン工学部 緑川岳志研究室

注意

本調査結果の利用には、必ず、東北芸術工科大学イノベーション&コミュニケーション研究所(通称:IC Lab.)の明記をお願いしま

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